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主に創作で活動しています。創作っ子の設定置いたり、拙いお話を書いたりetc

魔法のようなほんとの話







「君かね、私を呼んだ物好きは」

「君のような姿のケースは初めてだが…ふむ、まあなんとかなるだろう」

「私は君に魔法を授けよう」

「さあ契約だ。…汝は何を望む?」





*



彼が消えてから何日経ったろうか

拉致された、ということになっているが裏ではまことしやかに神隠しじゃないかとも言われていた

そんなことはない、彼が俺を置いていくはずはないんだと不確実な確信を胸に、静かな夜をいつものように迎えたそんな日だった

悪魔、まさにあれは悪魔の声と呼ぶに相応しい。俺に悪魔が囁きかけたのだ

ー彼を助けたくば私と契約するがいい

と。


魔術書の最後の項に仕掛けられたとっておきの大魔法

彼を元あった時間に元の姿で戻すというもの

願ったり叶ったりだった。しかし悪魔は言う

ー忘れるな、これは契約だ

ーつまり、君は彼の幸せを得る代わりに何かを失う必要がある

   …そうだな、

 君の未来を、貰おう


つまるところ、『彼を幸せに戻せた』としても『俺は彼と幸せに未来を生きることができない』ということだった

俺は迷うことなく即答した。それでも構わない、と

これで俺と悪魔の契約は成立した。俺が死ぬそのときに無効になる契約らしい

光に包まれて、しばしのまどろみに沈むことにした


*


今ではこうして、人の姿を得て普通に生活を送っている

不安がないわけじゃない、でも彼のためならなんだってできると心に決めた

明日も頑張ろうと意気込み床につく

今夜だってあの日と何ら変わらない静かな夜だ